ボルゾイとサルーキ、どちらも息をのむほど優雅で美しい姿をしていますよね。
「すごく似ているけど、具体的にどこが違うんだろう?」
「写真で見ても、いまいち見分けがつかない…」
そんな風に感じていませんか?その気持ち、とてもよく分かります。
一見そっくりなボルゾイとサルーキですが、実は歴史も性格も、そして飼い方も全く異なる、それぞれに個性豊かな魅力を持つ犬種なんです。
この記事では、そんなボルゾイとサルーキの違いを、外見の見分け方から、性格の傾向、日々のお手入れ、必要な運動量、気になる費用まで、あらゆる角度から徹底的に比較・解説します。専門的な知識がない方でも理解できるよう、分かりやすい言葉で丁寧にお伝えしますのでご安心ください。
この記事を読み終える頃には、写真だけでは分からなかった両者の違いがスッキリと理解でき、どちらの犬種がよりあなたの心に響くのか、あるいはご自身のライフスタイルに合っているのか、きっと明確になっているはずです。
- ボルゾイとサルーキの見た目・性格における明確な違い
- 各犬種の運動量・しつけ・お手入れ方法の把握
- アフガンハウンド含めた3犬種の見分け方と特徴理解
- 価格相場や病気リスクなど現実的な飼育情報の習得
ボルゾイとサルーキ 似てるけど違う?見分け方を解説
ボルゾイとサルーキ、どちらもすらりとした体型で優雅な雰囲気を持つ犬種ですが、並べてみると意外な違いに気づくかもしれません。「どっちがどっち?」と迷ってしまう方も少なくないでしょう。
この記事では、そんなボルゾイとサルーキのそれぞれの特徴を詳しく掘り下げ、見た目や性格、飼い方の違いなどを分かりやすく解説していきます。どちらの犬種も魅力たっぷりですが、違いを知ることで、より深く理解できるはずです。写真だけでは分からない、それぞれの個性に迫ってみましょう。
- 優雅さが魅力 ボルゾイはどんな犬?
- 古代からの俊足犬 サルーキの特徴
- ボルゾイとサルーキの体格はどう違う?
- ボルゾイの特徴的な毛並み 長くカールした被毛
- サルーキの被毛タイプ 短毛と飾り毛
- ボルゾイに毛がないは誤解?被毛タイプ解説
- ボルゾイに似た犬種 アフガンハウンドも比較
- ボルゾイ・サルーキ・アフガンハウンドの見分け方
- ボルゾイに似てる犬 毛が長いのはどっち?
- 見た目だけじゃない ボルゾイのかわいい性格
優雅さが魅力 ボルゾイはどんな犬?

ボルゾイは、ロシア原産の大型犬で、その優雅なたたずまいと長い歴史を持つ犬種です。まるでモデルのようなスラリと伸びた長い脚、小さな頭、そして豊かな飾り毛が特徴的で、見る人を魅了します。
この犬種は、もともとロシアの王侯貴族に愛され、オオカミ狩りのためのサイトハウンド(視覚ハウンド)として活躍していました。サイトハウンドとは、優れた視力で獲物を見つけ、驚異的なスピードで追いかける猟犬のことです。ボルゾイという名前も、ロシア語で「俊敏」を意味する言葉に由来しており、その走力は時速50kmを超えるとも言われています。かつてはもう少し小柄だったようですが、オオカミのような大きな獲物に対応するために大型犬と交配され、現在のサイズになりました。
体格は非常に大きく、男の子では体高が75cmから85cm、体重は34kgから48kgほどにもなり、超大型犬に分類されることもあります。女の子はやや小ぶりですが、それでも大型犬のサイズです。二本足で立ち上がると、大人の身長に匹敵するほどの大きさになることも珍しくありません。
その美しい見た目とは裏腹に、猟犬としての勇敢さや運動能力も兼ね備えています。普段は物静かで落ち着いていることが多いですが、ひとたびスイッチが入ると、サイトハウンドとしての本能を発揮し、動くものを素早く追いかけることがあります。
ボルゾイの魅力は、その高貴な外見だけでなく、歴史に裏打ちされた能力や、家族に見せる穏やかな一面にもあります。ただし、その大きさゆえに広い飼育スペースや十分な運動量が必要となる点、そして猟犬としての気質を理解した上でのしつけが重要になる点は、飼育を考える上で考慮すべきポイントと言えるでしょう。
古代からの俊足犬 サルーキの特徴

サルーキは、世界で最も古い犬種のひとつと言われるほど、長い歴史を持つ犬です。その起源は紀元前6000年以上前の中東地域にまで遡ると考えられており、古代エジプトの遺跡からは王族と共に埋葬されたサルーキのミイラや、サルーキによく似た犬の彫刻などが発見されています。このことからも、古くから人間と深い関わりを持ってきた特別な犬であったことがうかがえますね。
サルーキは、ボルゾイと同じくサイトハウンドに分類される猟犬です。主に砂漠地帯で、俊足のガゼル(鹿に似た動物)などを狩るために活躍してきました。そのため、非常に優れた視力と、獲物を高速で追いかけるための驚異的なスピード、そして長距離を走り続けられる持久力を兼ね備えています。その走る速さは、時速70kmを超えるとも言われるほどです。
外見的な特徴としては、細長い顔に垂れた耳、そして引き締まった筋肉を持つスリムな体つきが挙げられます。ボルゾイと比べるとやや小柄で、大型犬に分類されますが、中型犬サイズに近い個体もいます。体は緩やかな弓なりのラインを描き、胸が深いことも特徴で、これは高い心肺機能を持っていることを示しています。
被毛は絹のように滑らかで、スムースタイプ(全身が短毛)とフェザードタイプ(耳やしっぽ、脚などに飾り毛がある)の2種類が存在します。毛色はホワイト、クリーム、ブラック&タンなど非常に多彩です。
性格は穏やかで知的ですが、独立心が強く、やや頑固な一面も持ち合わせています。飼い主には忠実ですが、見知らぬ人や他の犬に対しては警戒心を見せることがあり、慣れるまでに時間がかかるかもしれません。繊細な面もあるため、しつけや接し方には根気と優しさが必要です。また、運動能力が非常に高いため、毎日の十分な運動が欠かせません。運動不足はストレスや問題行動の原因になる可能性があります。
ボルゾイとサルーキの体格はどう違う?
ボルゾイとサルーキは、どちらもすらりとした優雅な体型を持つ大型犬ですが、実際の体の大きさには明確な違いがあります。一言でいうと、ボルゾイの方がサルーキよりもかなり大きいです。
それぞれの標準的な体格を見てみましょう。
犬種 | 分類 | 体高 (オス) | 体高 (メス) | 体重 (オス) | 体重 (メス) |
---|---|---|---|---|---|
ボルゾイ | 大型~超大型犬 | 75~85cm | 68~78cm | 34~48kg | 25~40kg |
サルーキ | 中型~大型犬 | 58~71cm | やや小さい | 18~27kg程度 | やや軽い |
※体高は地面から背中(肩の最も高い部分)までの高さです。体重は個体差があります。
表からもわかるように、ボルゾイは体高・体重ともにサルーキを大きく上回ります。特にボルゾイのオスは体高が80cmを超えることもあり、超大型犬と言っても過言ではありません。一方、サルーキは大型犬に分類されますが、ボルゾイと比べると一回りから二回りほど小さく、体重も軽いため、より軽快でスリムな印象を与えます。
この体格差は、それぞれの犬種が狩ってきた獲物や、活躍してきた環境の違いが影響していると考えられます。ボルゾイはロシアでオオカミなどの大きな獲物を狩るために大型化された歴史を持ちます。対してサルーキは、中東の砂漠地帯で俊敏なガゼルなどを追うために、スピードと持久力に特化した、より軽量な体型になったのでしょう。
この体格の違いは、飼育環境にも影響します。ボルゾイを飼育するには、やはり相応の広いスペースが必要になります。室内でのびのびと過ごせるだけでなく、寝床やトイレのスペースも大きくなります。食事量や必要な運動量も、当然ボルゾイの方が多くなる傾向があります。サルーキも十分な運動は必要ですが、体格面だけを見れば、ボルゾイよりは日本の住環境に適合しやすいと言えるかもしれません。
ボルゾイの特徴的な毛並み 長くカールした被毛
ボルゾイの大きな魅力のひとつが、その豊かで美しい被毛です。ボルゾイの毛は、ただ長いだけでなく、独特の質感と特徴を持っています。
まず、ボルゾイはダブルコートと呼ばれる二重構造の被毛を持っています。これは、皮膚を保護する役割を持つ硬めの「オーバーコート(上毛)」と、体温を保持するための柔らかく密生した「アンダーコート(下毛)」の二層で構成されているタイプです。このダブルコートは、ボルゾイの原産地であるロシアの厳しい寒さに耐えるために発達したと考えられています。
毛質は長く、絹のように柔らかいのが特徴です。そして、多くのボルゾイの被毛には、緩やかなウェーブがかかっていたり、カールしていたりします。完全にストレートな毛質のボルゾイは比較的少ないです。特に、首周り、胸元、前足の後ろ側、太ももの後ろ側、そして尻尾には、「フェザリング」と呼ばれる羽のような飾り毛が豊かに生えており、歩いたり走ったりする姿をより一層優雅に見せています。この飾り毛は、ボルゾイの外見を印象付ける重要な要素です。
ただし、頭部や耳、足先の毛は比較的短くなっています。子犬の頃は全身の毛が短く、まるで綿毛のようですが、成長するにつれて徐々に長くなり、特徴的な飾り毛も発達していきます。完全にボルゾイらしい被毛が生えそろうまでには、数年かかることも珍しくありません。
毛色は非常にバラエティ豊かで、ホワイト、ブラック、レッド、グレー、ブリンドル(虎毛模様)、フォーン(淡い黄褐色)など、様々な色が認められています。単色だけでなく、これらの色が組み合わさった斑模様(パイド)なども存在します。
この美しく豊かな被毛は魅力的ですが、お手入れには手間がかかる点も理解しておく必要があります。ダブルコートで長毛のため、抜け毛は非常に多いです。特に春と秋の換毛期には、驚くほどの量の毛が抜けます。また、長い毛は絡まりやすく、毛玉もできやすいため、毎日のブラッシングが欠かせません。特に飾り毛の部分は念入りなケアが必要です。お手入れを怠ると、見た目が悪くなるだけでなく、皮膚の通気性が悪くなり、皮膚病の原因にもなりかねません。
サルーキの被毛タイプ 短毛と飾り毛
サルーキの被毛は、ボルゾイとはまた違った魅力を持っています。ボルゾイが全体的に長い毛で覆われているのに対し、サルーキには主に2つの被毛タイプが存在するのが大きな特徴です。
1つ目は「スムースタイプ」と呼ばれ、その名の通り、全身が短く滑らかな毛で覆われています。触るとツルツルとした感触で、体にぴったりとフィットしているように見えます。このタイプは、飾り毛がほとんどありません。
2つ目は「フェザードタイプ」です。こちらは、スムースタイプと同様に胴体部分の毛は比較的短いのですが、耳、しっぽ、そして脚の後ろ側(太ももなど)に、長くて美しい飾り毛(フェザリング)が生えています。この飾り毛は、まるで鳥の羽のように見えることから「フェザード」と呼ばれ、サルーキの優雅さを一層引き立てています。特に耳の飾り毛は長く垂れ下がり、特徴的な外見を作り出しています。
どちらのタイプも、毛質は絹のように細く、滑らかで柔らかいのが共通点です。ボルゾイの毛がウェーブがかっていることが多いのに対し、サルーキの毛(特に飾り毛)は直毛であることが多いようです。
また、ボルゾイがダブルコートであるのに対し、サルーキはシングルコートです。これは、主に皮膚を保護するオーバーコートのみで構成されており、体温調節のためのアンダーコートがほとんどありません。このため、抜け毛の量はボルゾイに比べると少ない傾向にあります。お手入れの面では、スムースタイプは比較的簡単で、定期的なブラッシングで十分です。フェザードタイプの場合も、ボルゾイほどではありませんが、飾り毛の部分は絡まりやすいため、少し丁寧なブラッシングが必要になります。
毛色に関しては、ボルゾイ同様に非常にバリエーション豊かです。ホワイト、クリーム、フォーン、ゴールド、レッド、ブラック&タン、トライカラー(3色)など、様々な色が認められています。ただし、虎のような縞模様の「ブリンドル」は、犬種標準としては好ましくないとされています。
ボルゾイに毛がないは誤解?被毛タイプ解説
時折、「ボルゾイって毛がない犬?」という疑問を聞くことがありますが、これは完全な誤解です。実際には、ボルゾイは非常に豊かで美しい被毛を持つ犬種です。では、なぜこのような誤解が生まれるのでしょうか。
考えられる理由の一つは、ボルゾイの非常にスリムな体型にあるかもしれません。体が細いため、毛がないように錯覚してしまう可能性があります。また、子犬の頃は毛が短く、成犬のような豊かな飾り毛がないため、その印象が残っているのかもしれません。ボルゾイの特徴的な長い毛や飾り毛は、成長とともに数年かけてゆっくりと発達していきます。
もう一つの可能性として、ボルゾイと他のサイトハウンド犬種との混同が考えられます。例えば、サルーキのスムースタイプや、ウィペット、グレーハウンドといった犬種は、ボルゾイに似た体型をしていますが、被毛は短毛です。これらの犬種を見て、「ボルゾイも毛が短い(ない)」と思い込んでしまうケースもあるでしょう。
しかし、改めて強調しますが、ボルゾイは長毛のダブルコートを持つ犬種です。前述の通り、絹のように柔らかい毛がウェーブまたはカールしており、特に首周りや胸元、尻尾などには豊かな飾り毛(フェザリング)があります。この被毛は、ボルゾイの優雅さを象徴する重要な特徴です。
「毛がない」どころか、むしろ抜け毛は非常に多い部類に入ります。ダブルコートのため、特に春と秋の換毛期には大量のアンダーコートが抜け落ちます。この美しい毛並みを維持するためには、毎日のブラッシングが欠かせません。お手入れを怠ると、毛玉ができたり、皮膚トラブルの原因になったりすることもあります。
もし「毛がないボルゾイ」を見かけたとすれば、それはおそらく、トリミングで短くカットされているか、あるいは皮膚病などで毛が抜けてしまっている特殊なケース、もしくはボルゾイではない別の犬種である可能性が高いでしょう。ボルゾイは、その豊かな被毛も含めて魅力的な犬種なのです。
ボルゾイに似た犬種 アフガンハウンドも比較

ボルゾイによく似た犬種としてサルーキをご紹介しましたが、実はもう一種類、見間違えやすい優雅なサイトハウンドがいます。それが「アフガンハウンド」です。アフガンハウンドもボルゾイやサルーキと同じく、視覚で獲物を追う猟犬のグループに属し、その美しい容姿から人気の高い犬種です。
アフガンハウンドの最大の特徴は、なんといってもその全身を覆う、絹糸のように長くゴージャスな被毛です。ボルゾイの毛がウェーブやカールがかっていることが多いのに対し、アフガンハウンドの毛は非常に長く、まっすぐで滑らかです。風になびくその姿は、まさに「歩く芸術品」とも称されるほどです。頭頂部には「トップノット」と呼ばれる特徴的な飾り毛がある個体もいます。
ボルゾイとアフガンハウンドを比較してみましょう。
特徴 | ボルゾイ | アフガンハウンド |
---|---|---|
原産国 | ロシア | アフガニスタン |
体格 | やや大きい (超大型犬寄り) | やや小さい (大型犬) |
被毛 | 長毛、ウェーブ/カール、ダブルコート | 超長毛、ストレート、シングルコート |
顔周りの毛 | 短め | 長い |
性格 | 穏やか、甘えん坊、従順 | 独立心旺盛、マイペース、頑固 |
お手入れ | 大変 (毎日のブラッシング) | 非常に大変 (毎日のブラッシング、定期的なシャンプー&トリミング必須) |
体格は、ボルゾイの方がアフガンハウンドよりも一回り大きい傾向があります。アフガンハウンドも大型犬ですが、ボルゾイほどの重量感はありません。
性格面では、ボルゾイが比較的穏やかで飼い主に甘える一面があるのに対し、アフガンハウンドは非常に独立心が強く、マイペースな性格で知られています。「猫のような犬」と表現されることもあり、自分の気分や考えで行動することを好みます。そのため、しつけには根気と工夫が必要で、初心者には難しい犬種と言われています。
そして、最も大きな違いがお手入れです。アフガンハウンドの長く美しい被毛を維持するには、毎日の丁寧なブラッシングが絶対に欠かせません。少しでも怠るとすぐに毛玉ができ、皮膚トラブルの原因にもなります。さらに、定期的なシャンプーと、場合によってはトリミングも必要となり、その手間と時間はボルゾイ以上にかかります。
ボルゾイ、サルーキ、アフガンハウンドは、いずれもサイトハウンドとしての優雅さと美しさを持つ魅力的な犬種ですが、被毛、体格、性格、そして飼育の手間にはそれぞれ違いがあります。
ボルゾイ・サルーキ・アフガンハウンドの見分け方
ボルゾイ、サルーキ、アフガンハウンド。この3犬種は、いずれもサイトハウンド特有のすらりとした体型と優雅な雰囲気を持っているため、一見すると見分けるのが難しいかもしれません。しかし、いくつかのポイントに注目すれば、それぞれの特徴を捉えて区別することができます。
まず、最も分かりやすい違いは「体格」です。3種の中で最も大きいのがボルゾイで、超大型犬に分類されることもあります。次に大きいのがアフガンハウンド、そして最も小柄なのがサルーキです。実際に並べてみると、その大きさの違いは明らかでしょう。
次に注目したいのが「被毛」です。これは3種を見分ける上で非常に重要なポイントとなります。
- ボルゾイ:全体的に長く、ウェーブやカールのかかった毛が特徴です。首周りや胸、尻尾などに豊かな飾り毛がありますが、顔周りの毛は比較的短めです。ダブルコートなので、毛量も多く見えます。
- サルーキ:スムースタイプ(全身短毛)とフェザードタイプ(耳や尻尾などに飾り毛あり)がいます。毛質は絹のように滑らかで、シングルコートです。フェザードタイプでも、ボルゾイやアフガンハウンドほど全身が毛で覆われているわけではありません。
- アフガンハウンド:全身が絹糸のような非常に長いストレートヘアで覆われています。顔周りや頭頂部(トップノット)まで長く、まるでゴージャスな衣装をまとっているようです。シングルコートです。
さらに、「顔つき、特に耳周りの毛」も参考になります。
- ボルゾイは耳自体の毛は比較的短いです。
- サルーキのフェザードタイプは、耳に長く美しい飾り毛が垂れ下がっています。
- アフガンハウンドは、顔全体が長い毛で覆われており、耳の毛も非常に長いです。
これらの「体格」「被毛(長さ、質感、タイプ、飾り毛の有無)」「顔つき(耳周り)」といった点を総合的に観察することで、ボルゾイ、サルーキ、アフガンハウンドをかなり正確に見分けることができるはずです。
ボルゾイに似てる犬 毛が長いのはどっち?
ボルゾイに似ている犬としてサルーキやアフガンハウンドが挙げられますが、「毛の長さ」という点で見ると、それぞれに特徴があります。「結局、一番毛が長いのはどの犬種なの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
結論から言うと、全身の毛が最も長く、ゴージャスなのは「アフガンハウンド」です。アフガンハウンドは、その名の通りアフガニスタン原産の犬で、絹糸のように細く、まっすぐで非常に長い毛が全身を覆っています。まるで美しいショールをまとっているかのようなその姿は、他の犬種にはない独特の魅力です。
次に毛が長いのは「ボルゾイ」です。ボルゾイも長毛種であり、特に首周り、胸元、尻尾などには豊かな飾り毛(フェザリング)があります。しかし、アフガンハウンドのように顔周りまで長い毛で覆われているわけではなく、毛質もウェーブやカールがかっていることが多いです。また、ダブルコートであるため、毛量が多く見えますが、一本一本の毛の長さや全身を覆う均一性という点では、アフガンハウンドに及びません。
そして「サルーキ」ですが、こちらは少し複雑です。サルーキにはスムースタイプとフェザードタイプの2種類がいます。スムースタイプは全身が短毛なので、毛が長いとは言えません。一方、フェザードタイプは、耳や尻尾、脚の後ろ側などに長い飾り毛を持っています。この飾り毛は非常に美しいですが、体全体が長い毛で覆われているわけではありません。胴体部分は比較的短毛です。
したがって、「毛が長い」という観点で比較すると、以下のようになります。
- アフガンハウンド:全身が非常に長いストレートヘア
- ボルゾイ:全体的に長毛(ウェーブ/カールあり)、豊かな飾り毛
- サルーキ(フェザード):部分的に長い飾り毛(耳、尻尾など)、胴体は短毛
- サルーキ(スムース):全身短毛
もし「ボルゾイみたいに優雅で、とにかく毛が長い犬がいい!」ということであれば、アフガンハウンドが最もイメージに近いかもしれませんが、その分お手入れは非常に大変であることも覚えておく必要があります。
見た目だけじゃない ボルゾイのかわいい性格
ボルゾイといえば、その aristocratic(貴族的)で優雅な外見がまず思い浮かびますが、魅力は見た目だけではありません。実は、とてもかわいらしい性格も持ち合わせているのです。そのギャップに心を掴まれる飼い主さんも少なくありません。
ボルゾイの性格の基本は「穏やかさ」です。大型犬、特にサイトハウンドの中では比較的落ち着きがあり、家の中では物静かに過ごすことを好みます。無駄吠えも少ない傾向にあるため、その点は集合住宅などでも飼いやすい一面と言えるかもしれません。
そして、飼い主や家族に対しては非常に愛情深く、従順な姿を見せます。信頼関係を築いた相手には、そっと体を寄せてきたり、静かにそばに寄り添ったりして、控えめながらも深い愛情を表現します。ベタベタと積極的に甘えるタイプではありませんが、ふとした瞬間に見せる甘えん坊な仕草は、その大きな体とのギャップも相まって、たまらなくかわいいと感じるでしょう。まるで「静かなる愛情表現」といった趣です。
ただし、ボルゾイは繊細で傷つきやすい一面も持っています。大きな声で叱られたり、環境が急に変わったりすると、ストレスを感じて落ち込んでしまうこともあります。そのため、しつけやコミュニケーションにおいては、優しさと根気強さが大切になります。
また、元々はオオカミ狩りの猟犬だったため、サイトハウンドとしての本能は残っています。動くものを目で追う習性があり、猫や小型犬などを見ると、追いかけようとしてしまうことがあります。散歩中のリード管理や、他の動物との同居には注意が必要です。警戒心が強い面もあり、知らない人にはすぐに懐かないこともありますが、これも信頼する家族を守ろうとする気持ちの表れと捉えることもできます。
このように、ボルゾイはクールで優雅な見た目の奥に、穏やかさ、愛情深さ、そして時折見せる甘えん坊な一面という、かわいらしい性格を秘めています。その多面的な魅力が、多くの人々を惹きつけている理由なのです。
ボルゾイとサルーキ 飼う前に知りたい性格と費用
ボルゾイとサルーキ、どちらもその優雅な姿に惹かれる方は多いでしょう。しかし、実際に家族として迎え入れることを考えると、見た目の美しさだけでなく、それぞれの性格や飼育にかかる費用についてもしっかりと理解しておくことが非常に重要です。性格が自分のライフスタイルに合っているか、経済的な負担はどの程度かを知ることは、後悔のない選択をするために欠かせません。
この記事では、ボルゾイとサルーキの性格の違いや、飼いやすさ、そして気になる費用面について、詳しく比較検討していきます。
- ボルゾイの性格は穏やかで甘えん坊?
- サルーキの性格 独立心と繊細さが特徴
- 飼いやすさを比較 運動量としつけ
- お手入れは大変?抜け毛が多いのはどっち?
- 注意したい病気 ボルゾイとサルーキのリスク
- ボルゾイはかわいそう?飼育の誤解を解く
- ボルゾイの値段 迎え入れ費用目安
- サルーキの値段 価格相場をチェック
- ボルゾイとサルーキに関するよくある質問と回答
- ボルゾイとサルーキの違いを総括
ボルゾイの性格は穏やかで甘えん坊?

ボルゾイの性格を一言で表すなら、「穏やか」でありながら、信頼する家族には「甘えん坊」な一面を見せる、と言えるでしょう。その大きな体と俊足のイメージからは少し意外に感じられるかもしれませんが、多くのボルゾイは家庭内では非常に落ち着いています。
まず、「穏やかさ」についてですが、ボルゾイは大型犬にしばしば見られる落ち着きと物静かさを持っています。家の中では、騒がしく動き回るよりも、お気に入りの場所で静かに寝そべっていたり、飼い主のそばでリラックスして過ごしたりすることを好む傾向があります。無駄吠えも比較的少ないため、その点は集合住宅などでの飼育においてもメリットと感じられるかもしれません。
次に、「甘えん坊」な一面です。ボルゾイは、飼い主やその家族に対して非常に愛情深く、従順な態度を示します。ただし、小型犬のように常に積極的にじゃれついてくるタイプとは少し異なります。ボルゾイの愛情表現は、もっと静かで控えめなことが多いです。例えば、そっと体に寄り添ってきたり、静かに隣に座って飼い主を見つめたりといった行動で、深い信頼と愛情を示します。この、普段のクールなたたずまいと、時折見せる甘えた仕草とのギャップが、ボルゾイの大きな魅力であり、「かわいい」と感じるポイントでしょう。
しかし、ボルゾイの性格には注意すべき点もあります。一つは、非常に繊細で傷つきやすい面を持っていることです。大きな声で叱られたり、環境が急に変化したりすると、ストレスを感じやすく、ナーバスになってしまうことがあります。しつけやコミュニケーションにおいては、忍耐強く、優しいアプローチが求められます。
もう一つは、サイトハウンドとしての猟犬の本能です。動くものを目で捉えて追いかけるという習性が強く残っているため、散歩中に猫や鳥などを見つけると、突然走り出そうとすることがあります。そのため、散歩中のリード管理は徹底する必要がありますし、小型犬や他の小動物との同居には慎重な判断が必要です。また、警戒心が強いため、見知らぬ人にはすぐに心を開かないこともあります。子犬の頃からの社会化トレーニングが重要になります。
このように、ボルゾイは穏やかで愛情深い反面、繊細さや猟犬としての気質も持ち合わせています。その性格をよく理解し、適切な環境と接し方を提供することが、共に幸せに暮らすための鍵となります。
サルーキの性格 独立心と繊細さが特徴

サルーキは、その優雅な外見だけでなく、非常に個性的で奥深い性格を持っています。その性格を理解する上で重要なキーワードが「独立心」と「繊細さ」です。
まず、サルーキは非常に賢く、自立した精神を持っています。これは、古くから猟犬として活躍してきた歴史の中で、時には自分で状況を判断し、行動する必要があったためと考えられます。そのため、常に飼い主にべったりと甘えるというよりは、自分のペースを大切にし、静かに過ごすことを好む傾向があります。
飼い主には深い愛情と忠誠心を示しますが、媚びるような態度はあまり見せず、どこか気高く、凛とした雰囲気を持っているのが特徴です。この独立心の強さは、時に「頑固さ」として現れることもあり、自分が納得しないことに対しては、なかなか言うことを聞かない場面もあるかもしれません。
一方で、サルーキは非常に繊細で、感受性が豊かな一面も持ち合わせています。環境の変化、例えば引っ越しや家族構成の変化、あるいは大きな物音や飼い主の感情の起伏などに敏感に反応し、ストレスを感じやすいと言われています。ストレスが溜まると、食欲がなくなったり、皮膚にトラブルが出たりすることもあるため、穏やかで安定した生活環境を用意してあげることが非常に重要です。
また、見知らぬ人や他の犬に対しては警戒心が強く、すぐに心を開くタイプではありません。初対面では距離を置くような、慎重な態度を見せることが多いでしょう。子犬の頃から様々な経験をさせてあげる「社会化」が、過度な臆病さや警戒心を和らげるのに役立ちます。
このように、サルーキは知的で落ち着きがありながらも、マイペースで頑固な面と、デリケートでストレスに弱い面を併せ持っています。その独特な性格を十分に理解し、サルーキの気持ちに寄り添いながら、根気強く信頼関係を築いていくことが、共に幸せに暮らすための鍵となります。力で押さえつけようとするのではなく、サルーキのプライドを尊重した接し方が求められるでしょう。
飼いやすさを比較 運動量としつけ
ボルゾイとサルーキ、どちらの犬種が「飼いやすい」と感じるかは、飼い主さんのライフスタイル、住環境、犬の飼育経験、そして犬に何を求めるかによって大きく変わってきます。ここでは、特に重要な「運動量」と「しつけ」の観点から、両者を比較してみましょう。
まず「運動量」ですが、これはボルゾイもサルーキも、ともに非常に多いという点で共通しています。どちらもサイトハウンド(視覚型猟犬)であり、広大な土地を疾走するために生まれてきたような犬種です。そのため、毎日の散歩は最低でも1時間以上(できれば朝晩2回)、さらに定期的にドッグランなどで思い切り走らせる機会を作ってあげることが、心身の健康維持のために不可欠です。運動不足はストレスや問題行動の大きな原因となります。
ただし、体格差があるため、必要な運動の「質」や「量」には若干の違いがあるかもしれません。超大型犬であるボルゾイは、その大きな体を維持するために、よりパワフルで長時間の運動を必要とする可能性があります。一方、サルーキはボルゾイより小柄ですが、瞬発力と持久力に優れており、こちらも満足させるには十分な運動が必要です。どちらにしても、運動時間を確保し、一緒にアクティブに過ごせる飼い主さんであることが、飼育の前提条件と言えるでしょう。
次に「しつけ」のしやすさについてです。一般的に、ボルゾイの方がサルーキよりも、しつけはやや入りやすいと言われています。ボルゾイは比較的穏やかで、飼い主に順応しようとする気持ちが強いため、基本的なコマンドは覚えやすい傾向があります。しかし、体が大きい分、興奮した際のコントロールは難しくなるため、「待て」や「おいで」などの基本的なしつけは、子犬の頃から徹底する必要があります。
一方、サルーキは非常に賢いものの、独立心が強く頑固な一面があるため、しつけにはより一層の根気と工夫が求められます。飼い主の指示を理解していても、気分が乗らなければ従わないこともあります。力で押さえつけようとする方法は逆効果になりやすく、褒めて伸ばすことを基本に、サルーキのやる気を引き出しながら、一貫性のある態度で接することが重要です。犬の飼育経験が少ない方には、難易度が高いと感じられるかもしれません。
結論として、運動量の確保はどちらも必須ですが、しつけのしやすさだけを見ればボルゾイに分があるかもしれません。しかし、体の大きさや性格の独自性を考慮すると、一概にどちらが「飼いやすい」とは言えません。どちらの犬種も、サイトハウンドの特性をよく理解し、十分な時間と愛情、そして根気を持って向き合えることが、飼い主として最も大切な資質となるでしょう。
お手入れは大変?抜け毛が多いのはどっち?
ボルゾイとサルーキ、どちらもその美しい被毛が魅力ですが、日々のお手入れ、特に「抜け毛」の量やブラッシングの手間は気になるところです。この点に関しては、両者の間には明確な違いがあります。
結論から言うと、抜け毛が圧倒的に多く、お手入れに手間がかかるのは「ボルゾイ」です。
その理由は、ボルゾイが長毛のダブルコートであるためです。ダブルコートとは、保温のための柔らかいアンダーコート(下毛)と、皮膚を守るオーバーコート(上毛)の二層構造になった被毛のことです。このアンダーコートが、年に2回の換毛期(春と秋)に大量に抜け落ちます。その量は驚くほど多く、家の中の掃除が大変になることは覚悟しておいた方が良いでしょう。換毛期以外でも、日常的に抜け毛は多いです。
さらに、ボルゾイの長くウェーブがかった毛は非常に絡まりやすく、毛玉ができやすいという特徴もあります。そのため、美しい毛並みを保ち、皮膚の健康を守るためには、毎日のブラッシングが欠かせません。特に飾り毛の部分は念入りに行う必要があります。体が大きいこともあり、ブラッシングにはそれなりの時間と労力がかかります。シャンプーも定期的に必要ですが、自宅で行うのは一苦労でしょう。
一方、サルーキのお手入れは、ボルゾイに比べると格段に楽です。
サルーキはシングルコートであり、アンダーコートがほとんどありません。そのため、ボルゾイのような換毛期の大量脱毛は基本的にありません。日常的な抜け毛も比較的少なく、お手入れの手間はかなり軽減されます。
サルーキにはスムースタイプ(全身短毛)とフェザードタイプ(耳や尻尾などに飾り毛あり)がいますが、スムースタイプであれば、週に数回、ラバーブラシなどで軽くブラッシングする程度で十分です。フェザードタイプの場合も、飾り毛の部分は絡まりやすいので少し丁寧にブラッシングする必要がありますが、ボルゾイの全身のお手入れに比べれば、時間も手間も大幅に少なくて済みます。シャンプーの頻度もボルゾイより少なくて済む場合が多く、体臭も少ないと言われています。
したがって、抜け毛の量やお手入れの手間をできるだけ減らしたいと考えている方にとっては、サルーキの方が圧倒的に飼いやすいと感じるでしょう。特に、抜け毛に敏感な方や、毎日のブラッシングに十分な時間を割くのが難しい場合は、ボルゾイの飼育は大きな負担になる可能性があります。この被毛に関する違いは、犬種を選ぶ上で非常に重要な判断材料の一つとなります。
注意したい病気 ボルゾイとサルーキのリスク
ボルゾイとサルーキ、どちらも健康的な犬種ですが、それぞれに特有のかかりやすい病気や注意すべきリスクが存在します。愛犬に長く元気でいてもらうためには、これらのリスクを理解し、日頃から健康状態をチェックすることが大切です。
まずボルゾイですが、大型犬によく見られる病気に注意が必要です。
代表的なのが「胃拡張・胃捻転症候群」です。これは、胃がガスで膨れ上がり、ねじれてしまう命に関わる危険な状態です。食後の急な運動は避け、食事を複数回に分けるなどの予防策が推奨されます。
また、その大きな体を支える骨や関節の病気、「股関節形成不全」や「骨肉腫(骨のがん)」のリスクも他の犬種より高いとされています。成長期の適切な栄養管理や、過度な運動を避けることが予防に繋がります。
さらに、ボルゾイの特徴である豊かな耳の飾り毛は、「外耳炎」の原因になることもあります。耳の中が蒸れやすく、汚れもたまりやすいため、定期的な耳掃除で清潔に保つことが重要です。その他、「甲状腺機能低下症」などの内分泌系の病気にも注意が必要です。
次にサルーキですが、こちらも注意すべき病気があります。
サルーキは非常に繊細な性格のため、精神的なストレスが原因で体調を崩しやすいと言われています。「食欲不振」や、ストレスからくる「皮膚疾患」などが比較的多く見られます。穏やかで安定した生活環境を整え、ストレスを与えないように心がけることが大切です。
また、サルーキは骨が細く、筋肉が発達するまでの若い時期や、骨がもろくなる老犬期には骨折しやすい傾向があります。高い場所からの飛び降りや、激しすぎる運動には注意が必要です。
ボルゾイと同様に、大型犬がかかりやすい「胃拡張・胃捻転症候群」のリスクもあります。食事管理には気を配りましょう。
心臓の病気である「肥大性心筋症」も、サルーキで報告されることのある病気です。定期的な健康診断で早期発見に努めることが重要です。ボルゾイと同様に「外耳炎」にもなりやすいので、耳のケアも忘れずに行いましょう。
どちらの犬種も、日頃から様子をよく観察し、食欲がない、元気がない、歩き方がおかしい、体を痒がるなどの変化に気づいたら、早めに動物病院を受診することが大切です。定期的な健康診断も病気の早期発見・早期治療に繋がります。
ボルゾイはかわいそう?飼育の誤解を解く
時折、「ボルゾイはかわいそう」という声を聞くことがあります。その優雅な姿とは裏腹に、なぜそのようなイメージを持たれてしまうのでしょうか。これにはいくつかの理由や誤解が考えられます。
一つは、その圧倒的な大きさと必要な運動量からくるイメージでしょう。ボルゾイは超大型犬であり、日本の一般的な住環境では飼育スペースの確保が難しく、また毎日十分な運動をさせるのも大変です。「狭い家で飼われている」「散歩に連れて行ってもらえていないのでは?」といった心配が、「かわいそう」という感情に繋がるのかもしれません。
また、ボルゾイはサイトハウンドとしての強い狩猟本能を持っています。この本能を理解せずに飼い始め、しつけに苦労したり、散歩中に他の動物を追いかけてトラブルになったりするケースも残念ながら存在します。こうした情報が、「飼い主がコントロールできなくてかわいそう」「本来の能力を発揮できなくてかわいそう」といった見方に繋がる可能性もあります。
さらに、ボルゾイは繊細な性格を持つため、飼い主の接し方や環境によってはストレスを感じやすい面があります。その点が「気難しくてかわいそう」と誤解されることもあるかもしれません。過去には、飼育放棄や咬傷事故などのニュースが報じられたこともあり、そうしたネガティブな情報が「かわいそう」というイメージを補強している側面も否定できません。
確かに、ボルゾイの飼育は簡単ではありません。広いスペース、十分な運動、適切なしつけ、丁寧なお手入れ、そして大型犬ならではの食費や医療費など、多くの覚悟と責任が求められます。安易な気持ちで飼い始めるべき犬種ではないことは事実です。
しかし、これらの大変さは、ボルゾイが「かわいそう」な犬であることを意味するわけではありません。適切な環境と、犬種特性を理解した愛情深いケアがあれば、ボルゾイは家庭犬として十分に幸せに暮らすことができます。その穏やかさや甘えん坊な一面は、共に暮らす家族にとって大きな喜びとなるでしょう。
大切なのは、「かわいそう」というレッテルを貼るのではなく、ボルゾイという犬種の特性とニーズを正しく理解し、責任を持って終生飼育できるかを真剣に考えることです。ボルゾイは、適切な飼い主と出会えれば、決してかわいそうな犬ではないのです。

ボルゾイの値段 迎え入れ費用目安

優雅で美しいボルゾイを家族に迎えたいと考えたとき、気になるのがその費用面でしょう。ボルゾイの子犬の価格は、他の犬種と同様に様々な要因によって変動しますが、一般的な目安を知っておくことは大切です。
ボルゾイの子犬の価格相場は、おおよそ20万円台後半から40万円程度が中心となることが多いようです。ただし、これはあくまで目安であり、場合によってはこれより高くなることも、逆に低くなることもあります。
価格に影響を与える主な要因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 血統:親犬がドッグショーで優秀な成績を収めているなど、良質な血統の場合は価格が高くなる傾向があります。
- ブリーダーやペットショップ:繁殖にコストをかけている有名なブリーダーや、安心できるサポート体制のあるペットショップでは、価格が高めに設定されることがあります。
- 毛色や模様:人気の毛色や珍しい模様の場合は、価格が上がることがあります。
- 性別:一般的に、繁殖の可能性があるメスの方がオスよりもやや高価になることがあります。
- 月齢:生後間もない子犬の方が価格は高く、月齢が進むにつれて少しずつ下がっていく傾向があります。
- 健康状態:もちろん、健康状態が良好であることが前提ですが、何らかの欠点(スタンダードから外れる点など)がある場合は価格が抑えられることもあります。
ボルゾイは、日本での飼育頭数がそれほど多くないため、ペットショップで見かける機会は少ないかもしれません。そのため、ボルゾイを専門に扱っているブリーダーさんから直接譲り受けるケースが多くなります。信頼できるブリーダーを探すことが、健康で性格の良い子犬と出会うための第一歩となるでしょう。
また、忘れてはならないのが、子犬の価格以外にも様々な初期費用がかかるということです。具体的には、以下のようなものが必要です。
- 飼育環境:ケージやサークル、ベッド、食器、水飲み器など
- トイレ用品:トイレトレー、トイレシーツ
- お手入れ用品:ブラシ、シャンプー、爪切りなど
- その他:首輪、リード、おもちゃ、ドッグフード(当面分)
- 医療・登録費:ワクチン接種費用、狂犬病予防注射費用、畜犬登録料、マイクロチップ登録料など
ボルゾイは超大型犬なので、ケージやベッドなども大きなサイズが必要になり、初期費用も比較的高額になる可能性があります。子犬の価格だけでなく、これらの初期費用や、その後の毎月の飼育費(食費、消耗品費、医療費など)もしっかりと見積もっておくことが重要です。
サルーキの値段 価格相場をチェック

古代エジプトの時代から愛されてきた、俊足で優美なサルーキ。その魅力に惹かれ、家族に迎えたいと考える方もいるでしょう。サルーキの価格相場や費用について見ていきましょう。
サルーキの子犬の価格相場は、ボルゾイと同様か、やや高めの傾向にあり、30万円台後半から50万円程度が中心となることが多いようです。ボルゾイと同じく、サルーキも日本国内での飼育頭数は限られており、希少犬種であるため、価格は比較的高めに設定される傾向があります。
価格が変動する要因は、ボルゾイの場合とほぼ同じです。
- 血統:親犬の質やドッグショーでの実績などが価格に反映されます。
- ブリーダーや入手経路:専門ブリーダーからの直接購入が主になりますが、そのブリーダーの実績や評判によって価格は異なります。
- タイプ:スムースタイプかフェザードタイプかによって、価格に差が出る場合もあります。
- 毛色:珍しい毛色や人気の毛色は高価になることがあります。
- 性別:メスの方がやや高価になる傾向があります。
- 月齢や健康状態:子犬の月齢や健康状態も価格に影響します。
サルーキはボルゾイ以上にペットショップで見かけることは稀でしょう。そのため、サルーキを迎え入れる場合は、専門のブリーダーさんを探すことが一般的です。国内のブリーダーの数も限られているため、子犬が産まれるタイミングを待ったり、予約が必要になったりすることもあります。根気強く、信頼できるブリーダーさんを探すことが大切です。
また、選択肢の一つとして里親制度を利用する方法もありますが、サルーキのような希少犬種が保護されるケースは非常に少ないため、出会える可能性は低いかもしれません。
サルーキを迎え入れる際にも、子犬の価格以外に初期費用が必要になります。ボルゾイと同様に、ケージ、ベッド、食器、トイレ用品、お手入れ用品、首輪、リード、ドッグフード、そしてワクチン接種や登録などの費用がかかります。サルーキはボルゾイよりは小柄ですが、それでも大型犬に分類されるため、飼育用品は大きめのサイズを選ぶ必要があり、初期費用もそれなりにかかることを想定しておきましょう。
サルーキは、その歴史や希少性から価格が高めになる傾向がありますが、それ以上に、その特性を理解し、十分な運動環境や安定した生活を提供できるかどうかが重要になります。費用面もしっかりと計画した上で、責任を持って迎え入れるようにしましょう。
ボルゾイとサルーキに関するよくある質問と回答
ボルゾイやサルーキの飼育を検討する中で、様々な疑問が浮かんでくることでしょう。ここでは、寿命の違い、飼育の難易度、費用など、多くの方が気になる点について、よくある質問とその回答形式でまとめました。
ボルゾイとサルーキ、寿命に違いはありますか?
一般的に大型犬の寿命は小型犬より短い傾向にあります。ボルゾイの平均寿命は7~10歳、サルーキは10~12歳程度と言われており、データ上はサルーキの方がやや長生きする傾向が見られます。ただし、これらはあくまで平均値であり、個体差はもちろん、日々の食事、運動、ストレスのない環境、適切な医療ケアなど、飼育環境によって大きく左右されます。どちらの犬種も定期的な健康診断を受け、病気の早期発見に努めることが長寿の秘訣です。
室内で飼う場合、特に気をつけることは何ですか?
どちらの犬種も室内では比較的落ち着いていますが、体が大きい、あるいは非常に俊敏であるため、思わぬ事故に注意が必要です。家具の角で体をぶつけたり、テーブルの上のものを誤って落としてしまったりする可能性があります。特にボルゾイは体が大きいので、狭い場所での方向転換が苦手なことも。滑りにくい床材を選び、彼らが安全にリラックスできる十分なスペースを確保してあげることが大切です。誤飲につながるような小さな物は片付けておきましょう。
犬の飼育初心者でも、ボルゾイやサルーキを飼えますか?
正直にお伝えすると、ボルゾイもサルーキも、犬の飼育が初めての方にはあまり推奨できません。どちらもサイトハウンド特有の気質(動くものを追う本能など)への深い理解が必要ですし、十分な運動量の確保、大型犬をコントロールする体力と技術、そして根気強いしつけが求められます。もし強い意志を持って迎え入れる場合は、必ず事前に専門家(信頼できるブリーダーやドッグトレーナー)に相談し、十分な知識とサポート体制を整えることが不可欠です。
他の犬や猫など、先住ペットとの相性はどうですか?
サイトハウンドは動くものを追いかける本能が強いため、特に小型犬や猫、うさぎなどの小動物との同居は慎重な判断が必要です。個体差はありますが、ボルゾイは猟犬としての気質が強く出る場合があり、サルーキも同様の本能を持っています。子犬の頃から一緒に育てることでうまくいくケースもありますが、絶対に安全とは言い切れません。先住ペットがいる場合は、双方の性格や相性をよく見極め、専門家のアドバイスも参考にしながら、時間をかけて慎重に慣らしていく必要があります。
食事の量や内容で、特に注意すべき点はありますか?
ボルゾイもサルーキも大型犬ですが、そのスリムな体型を維持するため、肥満には注意が必要です。また、両犬種とも胸が深い体型のため、命に関わる「胃拡張・胃捻転」のリスクが高いとされています。これを予防するため、一度に大量の食事を与えるのではなく、1日の量を2~3回に分けて与えること、食後すぐの激しい運動は避けることが推奨されます。フードの種類や量は、年齢、運動量、健康状態に合わせて、獣医師と相談しながら決めるのが最も良いでしょう。
暑さや寒さへの耐性は、それぞれどう違いますか?
原産地の気候が異なるため、暑さ・寒さへの耐性には違いがあります。ロシア原産のボルゾイは、豊かなダブルコートを持っているため寒さには比較的強いですが、日本の高温多湿な夏は非常に苦手です。熱中症対策として、夏場の室内はエアコンでの温度管理が必須となります。一方、中東原産のサルーキはシングルコートで、暑さにはボルゾイよりは耐性がありますが、それでも日本の夏は厳しいです。逆に冬の寒さは苦手とするため、冬場の保温対策が必要になります。
留守番させることはできますか?
どちらの犬種も、ある程度の留守番は可能です。特にサルーキは独立心が強いため、一人の時間も苦にならない個体が多いと言われます。ボルゾイは飼い主への依存度がやや高いため、寂しがり屋な一面を見せることもあります。ただし、どちらも繊細な面を持っているため、長時間の留守番はストレスになる可能性があります。子犬の頃から少しずつ留守番に慣れさせ、退屈しないようなおもちゃを用意したり、留守番前後に十分な運動やコミュニケーションをとったりする工夫が大切です。
ボルゾイとサルーキの違いを総括
記事のポイントをまとめます。
- ボルゾイはロシア原産の超大型犬、サルーキは中東原産の大型犬である
- ボルゾイはオオカミ狩り、サルーキはガゼル狩りの猟犬(サイトハウンド)であった
- 体格はボルゾイの方がサルーキより一回り以上大きい
- ボルゾイは長毛ダブルコート、サルーキは短毛(または飾り毛)シングルコートである
- 抜け毛の量はボルゾイの方が圧倒的に多い
- 被毛のお手入れはボルゾイの方が格段に手間がかかる
- ボルゾイの毛はウェーブやカール、サルーキの毛は滑らかな直毛が特徴である
- ボルゾイは穏やかで甘えん坊、サルーキは独立心が強く繊細な性格である
- どちらの犬種も非常に多くの運動量を必要とする
- しつけはボルゾイの方がやや入りやすいが、どちらも初心者向きではない
- ボルゾイに似た犬種としてアフガンハウンドもいる
- アフガンハウンドは全身が超長毛で、お手入れが最も大変である
- ボルゾイ、サルーキ、アフガンハウンドは体格と被毛で見分けられる
- ボルゾイに毛がないというのは誤解である
- ボルゾイが「かわいそう」というイメージは飼育環境や誤解によるものである
- 注意すべき病気はそれぞれ異なるが、胃捻転は共通のリスクである
- 子犬の価格はサルーキの方がやや高価な傾向がある
- 迎え入れには子犬価格以外に多くの初期費用が必要である
- ボルゾイは寒さに強く暑さに弱い、サルーキはその逆の傾向がある
- 他の小動物との同居は、どちらの犬種も慎重な判断が必要である